生まれも育ちも東京であれば、地方出身者が寄せる想いを感じることがないのかも知れない。
しかし、幼少期にも東京がテレビの中で観るだけの場所であれば、やはり就職する際に地元を選ぶのか上京するのかは、時代を問わずに大きな岐路であることに変わりないだろう。
何かが起こるような予感や期待が高く、地元では限界に感じることでさえ叶う気がするなど、東京という街には強い憧れを感じさせる何かがある。
実際に上京してみると、人の多さと関東弁のクールな言葉遣い、さらに土との距離を実感するかもしれない。
地方出身者にとっては、地元にいた時よりもずっと自然からの距離を感じさせる一方で、時間の流れや流行など、雑誌などで見ていた世界が日常生活の中に実在している。
地名をはじめ、芸能人行きつけの店など、手を伸ばしても届かない距離にあったものが、実際には届かないにしてもそう遠くない場所にあることを感じさせる。
東京にいることで、夢に近づけたような気持ちになるのは、地方出身者ならではの現象だろう。
さらに、ライフスタイルにも違いがある。
密集地である東京は徒歩や自転車でも十分に見て回ることができ、その場所ごとに全く異なった価値観や存在感を作りあげているものだ。
地元であれば手段は1つだとしても、考え方や手段によっていく通りも選択肢が存在している。
地元であれば諦めるしかない状況でも、東京ならやり方を変えれば挑戦できるかも知れないと期待が持てるところが、多くの人が東京に憧れる理由だろう。